多層的ヨーロッパ統合と法

編著者大木雅夫、中村民雄 編著
判型A5判
ページ数590 ページ
製本上製
発行日2008年04月
ISBN978-4-915832-77-2 C3032
定価6,600円(10%税込)
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内容紹介

本書は,政治,経済,法の各分野を横断する総合的な観点から,ヨーロッパ統合の過去と現在を重層的に見直すことによって,現在のEU をできるだけ客観的に認識し,これを基礎にしてEU 法の現在を解明する.特に「欧州憲法条約」の意義など,正しい現実を認識し,歴史的・比較的方法によってEU 法を客観的に認識し,日本の対EU 政策の方向づけについて論じる.

編著者プロフィール

大木 雅夫(おおき・まさお)
1931年生まれ。東京大学大学院社会科学研究科基礎法学専門課程博士課程修了。法学博士(東京大学)比較法学会理事長、日本学術会議会員、同第2部長等を歴任。上智大学名誉教授。聖学院大学大学院政治政策学研究科長・教授。

中村 民雄(なかむら・たみお)
1959年生まれ。1991年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士(東京大学)。成蹊大学法学部教授を経て、99年東京大学社会科学研究所助教授、2006年より教授。

滝沢 正(たきざわ・ただし)
法学博士。上智大学法学部教授・法学部長、図書館長、法科大学院教授・院長を歴任。

有賀 貞(あるが・ただし)
一橋大学教授、獨協大学教授を経て、聖学院大学アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科教授。聖学院大学総合研究所アングロアメリカ研究センター副センター長。

鈴木輝二(ずずき・てるじ)
香川大学法学部教授、東海大学法学部教授を経て、ワルシャワ、コジミンスキ学院法学部教授、ワルシャワ大学法学部客員教授(日本法担当)。

渋谷謙次郎(しぶや・けんじろう)
東京大学社会科学研究所研究員を経て、神戸大学大学院法学研究科准教授。

須網隆夫(すあみ・たかお)
早稲田大学法学部教授を経て、早稲田大学大学院法務研究科教授。2006年アメリカ・デューク大学ロースクール客員教授。

広渡清吾(ひろわたり・せいご)
ベルリン自由大学客員講師、ミュンヘン大学客員教授を経て、東京大学社会科学研究所長、東京大学総長特別補佐、東京大学副学長・東京大学附属図書館長を歴任。専攻:ドイツ法、比較法社会論。

大藤紀子(おおふじ・のりこ)
聖学院大学助教授、パリ第二大学客員研究員を経て、獨協大学法学部准教授。

小場瀬琢磨(おばせ・たくま)
早稲田大学大学院法務研究科助手。専攻:ヨーロッパ法。

佐藤義明(さとう・よしあき)
博士(法学)。東京大学社会科学研究所助手、広島市立大学広島平和研究所専任講師を経て、成蹊大学法学部准教授。専攻:国際法、憲法。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論――EU法研究の方法を中心にして (大木雅夫)

第一部 多層的ヨーロッパ統合への接近――歴史・理念・比較法
 大陸法とコモン・ロー――隣接の相の下における (大木雅夫)
 国家間の変遷――ヨーロッパ連合前史 (大木雅夫)
 ヨーロッパ法の発展と他の法分野との関連 (滝沢 正)
 欧州人権条約と法統合 (滝沢 正)
 連邦国家アメリカ合衆国の形成 (有賀 貞)
 欧州連合(EU)とNATOの東方への拡大による欧州図の変化 (鈴木輝二)
 ロシア・CIS・EU――旧ソ連諸国の統合の実情と問題点 (渋谷謙次郎)

第二部 国家統治権力の多層的再編成――EU
 EU政体規範(constitution)研究の現状と展望 (中村民雄)
 多元的憲法秩序としてのEU――欧州憲法条約への視座 (中村民雄)
 EUの発展と法的性格の変容――「EC・EUへの権限移譲」と「補完性の原則」 (須網隆夫)
 構造改革とEUの統治機構 (大木雅夫)
 フランスによる欧州連合憲法条約の否決――国内的側面 (滝沢 正)
 EU憲法体制と新規加盟国 (鈴木輝二)

第三部 基本的規範の共有と緊張――国際法・欧州人権条約・EU法・各国法の多層的補完と緊張
 EUにおける移民・難民法の動向 (広渡清吾)
 規範内部の「規範違反」――フランス共和国憲法とニュー・カレドニアにおける制限的な選挙人団の構成(大藤紀子)
 「憲法的伝統」と「超憲法性(supra-constitutionnalité)」――憲法改正に限界はあるのか (大藤紀子)
 憲法と条約の間――ドイツ連邦憲法裁判所のEC・EU法理解をめぐって (小場瀬琢磨)
 「カントの永遠平和の世界」の法秩序――制度化されたコスモポリタン法としてのEU二次立法 (佐藤義明)