公共政策と人間 : 社会保障制度の準市場改革

内容紹介

イギリスでは1980年から90年代に社会保障政策に大きな転機が訪れた．「政策立案者の『動機（motivation）』，つまり何が公的セクターで働く人々の動機となっているかについての信念と，『エージェンシー（agency）』，つまり個人，特に福祉国家の受益者が独立的に，あるいは自主的に行動できる能力についての信念に変化が生じたのである．そして，これらの変化は，特に行政サービスや福祉国家全体をどう構築すべきかについての見方を，深い転換へと導いた」（まえがきより）

編著者プロフィール

ジュリアン・ルグラン（Julian Le Grand）
London School of Economics and Political Science（ロンドン経済政治大学）教授。トニー・ブレア首相のsenior policy adviser（上級政策補佐官）をつとめた。

郡司篤晃（ぐんじ・あつあき）
1937年生まれ。東京大学医学部卒，同大学院卒。医学博士。東京女子医科大学日本心臓血圧研究所研究部を経て1975年に厚生省入省，その後医務局総務課，環境庁，鹿児島県衛生部長，厚生省生物製剤課長，健康増進栄養課長を歴任。1985年より東京大学医学部保健管理学教授。現在，聖学院大学大学院人間福祉学研究科長・教授。

佐藤雅代（さとう・まさよ）
国立大学法人北海道大学公共政策大学院

平岡公一（ひらおか・こういち）
国立大学法人お茶の水大学大学院間文化研究科

泉田信行（いずみだ・のぶゆき）
国立社会保障・人口問題研究所　社会保障応用分析研究部

府川哲夫（ふかわ・てつお）
国立社会保障・人口問題研究所　社会保障基礎理論研究部

山本克也（やまもと・かつや）
国立社会保障・人口問題研究所　社会保障基礎理論研究部

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版序文
まえがき

１　序論――動機、行為主体、公共政策　　（郡司篤晃訳）

第Ⅰ部　ナイトと悪党の理論 　
　２　公的セクターにおけるナイトと悪党――その言葉は何を意味し、我々は何を知っているのか?　　（郡司篤晃訳）
　３　動機づけと政策の文脈　（郡司篤晃訳）
　４　公共サービスの動機に関する理論　（佐藤雅代訳）

第Ⅱ部　歩とクイーンの理論
　５　行為主体と公共サービス　（平岡公一訳）
　６　行為主体と財政　（平岡公一訳）

第Ⅲ部　政策
　７　医療　（郡司篤晃訳）
　８　学校教育　（郡司篤晃訳）
　９　デモグラント　（泉田信行訳）
　10　パートナーシップ貯蓄　（府川哲夫訳）
　11　目的税　（山本克也訳）
　12　終章――穏やかな商取引　（郡司篤晃訳）