デジタルの際 : 情報と物質が交わる現在地点

編著者河島茂生 編著
判型四六判
ページ数364 ページ
製本並製
発行日2014年12月
ISBN978-4-907113-11-7 C0036
定価2,200円(10%税込)
在庫あり

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内容紹介

徹底的ともいえるデジタルの拡張が続くなかで、社会的な集合性や個人、身体はいかにあるのか。デジタルに捉えられない領域はあるのか。デジタルの幻惑から抜け出すために、本書は、「情報/物質」「集合性/個別性」の軸を交差させ、それらの領分の様相に接近する。

編著者プロフィール

河島 茂生(かわしま・しげお)
聖学院大学政治経済学部准教授、明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師。2002年慶應義塾大学総合政策学部卒業。2004年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了を経て、2010年同博士課程修了。博士(学際情報学)。情報学の基礎理論や社会情報学、図書館情報学にまたがる研究教育活動を行なっている。情報メディア学会理事。主な著書として、『基礎情報学のヴァイアビリティ』(共編著、東京大学出版会、2014)、『情報倫理のアプローチ』(共編著、学文社、近刊)、『図書館情報技術論』(編著、ミネルヴァ書房、2013)などがある。

佐々木 裕一(ささき・ゆういち)
東京経済大学コミュニケーション学部准教授。一橋大学社会学部卒業。学部時代にフランス高等商業学院(HEC)に留学しマーケティングを学ぶ。その後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で修士号、博士号取得。電通での消費財のマーケティング・コミュニケーション戦略立案、アーサーD.リトルとNTTデータ経営研究所での製造業の事業再構築、情報サービス企業の全社戦略立案、スタートアップ企業への投資やインキュベーションなどを経て現職。共著書に『Linuxはいかにしてビジネスになったか――コミュニティ・アライアンス戦略』(NTT出版、2000)、『シェアウェア――もう一つの経済システム』(NTT出版、1998)等がある。

椋本 輔(むくもと・たすく)
横浜国立大学教育人間科学部非常勤講師。2003年横浜国立大学教育人間科学部卒業。2005年同大学院環境情報学府修士課程修了を経て、2009年東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。情報学の基礎理論や、メディア思想史、アーカイブ・デザインなどにまたがる研究教育活動をおこなっている。

横山 寿世理(よこやま・すぜり)
聖学院大学人文学部准教授。2005年東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門は、自我の社会学、記憶の社会学、フランス社会学理論。主な著書として、『よくわかる社会学』(共著、2006年、ミネルヴァ書房)、『情報社会とコミュニケーション』(共著、2010年、ミネルヴァ書房)がある。

畠山 宗明(はたけやま・むねあき)
聖学院大学人文学部特任講師。1999年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。2007年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。映画理論史、表象文化論。近年は、映画というメディアの歴史的位置づけを、他のメディア(アニメーション、デジタルメディア)との関係から考察するという作業を中心に、研究教育活動をおこなっている。

西川 アサキ(にしかわ・あさき)
東京大学情報学環助教、早稲田大学文化構想学部非常勤講師。1998年慶應義塾大学環境情報学部卒業。2008年神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(理学)。心身問題を中心に、人工知能と哲学の境界分野について、システム論的観点からの研究教育活動などを行っている。人工知能学会会員。主な著書は、『魂と体、脳』(講談社、2011)、『魂のレイヤー』(青土社、2014)、『基礎情報学のヴァイアビリティ』(共編著、東京大学出版会、2014)、『吉本隆明論集』(共著、アーツアンドクラフツ、2013)など。

岡部 晋典(おかべ・ゆきのり)
同志社大学学習支援・教育開発センター助教。2005年筑波大学図書館情報専門学群卒業。2007年筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士前期課程修了、2013年、同博士後期課程単位取得退学。複数の大学の専任講師を経て、現在、同志社大学ラーニング・コモンズ専属教員。専攻は図書館情報学であるが、社会学、哲学、アーカイヴズ学などにも関心がある。主な著書として『DHjp04』(共著、勉誠出版、2014)、主要論文として「科学的合理性に著しく反する図書を図書館はどう取り扱っているのか――聞き取り調査を手がかりに」(共著、三田図書館情報学会、2012)など。

加藤 裕康(かとう・ひろやす)
関東学院大学経済学部、鶴見大学文学部、文教大学情報学部非常勤講師。2007年東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科博士課程修了。博士(コミュニケーション学)。コミュニケーション学の基礎理論をはじめ、社会学の視点からメディアや若者文化について研究している。『ゲームセンター文化論――メディア社会のコミュニケーション』(新泉社、2011)で第22回橋本峰雄賞を受賞。著書に『コミュニケーション・スタディーズ』(共著、世界思想社、2010)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 デジタル・ナルシス (河島茂生)

第Ⅰ部 集合性をまとうデジタル情報の運動
 第一章 ネットにおける集合性変容の予兆と資本主義――ユーザー生成型メディアの来歴と未来 (佐々木裕一)
 第二章 個人情報をめぐるせめぎあい――「人類史上最悪絶望的事件」の集合性 (河島茂生・椋本 輔)

第Ⅱ部 デジタル情報にまみれる個人のありか
 第三章 多重性が消失するとき――人格の一元化 (河島茂生・椋本 輔)
 第四章 アイデンティティの不確定性――固定化から生成変化へ (横山寿世理)

第Ⅲ部 情報と身体とのかかわり
 第五章 レイヤー化するイメージ――動画の分割性について (畠山宗明)
 第六章 「パターン」としての「心身問題」――情報とクオリアの際、その地図 (西川アサキ)

第Ⅳ部 デジタル情報に包摂されないコミュニケーション
 第七章 e-ラーニングとラーニング・コモンズ ――遠隔の学習、場を同じくする学習 (岡部晋典)
 第八章 オンライン時代のゲームセンター――ソーシャルメディアとゲームを媒介としたコミュニケーション (加藤裕康)