地域から読み解く「保護する責任」:普遍的な理念の多様な実践に向けて

シリーズ聖学院大学研究叢書11
編著者西海洋志、中内政貴、中村長史、小松志朗 編著
判型A5判
ページ数449 ページ
製本上製本
発行日2023年03月
ISBN978-4-909891-13-6 C3031
定価4,950円(10%税込)
在庫あり

内容紹介

21世紀の国際政治において最も論争的な概念の一つといえる「保護する責任」。紆余曲折を経て、国際的に定着してきたものの、いまだその全体像や現在地は不明瞭なままである。本書が描き出すのは、単なる強制的な軍事介入や「人道的介入」といった側面にとどまらない「保護する責任」の射程、また、世界各地の地域的な文脈を背景とした多様な展開である。2017年に出版された『資料で読み解く「保護する責任」』の姉妹本となっている。

編著者プロフィール

西海洋志(にしかい・ひろし)
聖学院大学政治経済学部准教授。東京大学大学院総合文化研究科グローバル共生プログラム博士課程単位取得退学。博士(グローバル研究)。専門は、国際政治思想。主な著作に、『保護する責任と国際政治思想』(国際書院、2021年)、『資料で読み解く「保護する責任」――関連文書の抄訳と解説』(共編著、大阪大学出版会、2017年)などがある。

中内政貴(なかうち・まさたか)
上智大学総合グローバル学部教授。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了。博士(国際公共政策)。国際関係論、平和構築論。主な著作に、『時政学への挑戦――政治研究の時間論的転回』(共著、ミネルヴァ書房、2021年)、『資料で読み解く「保護する責任」――関連文書の抄訳と解説』(共編著、大阪大学出版会、2017年)などがある。

中村長史(なかむら・ながふみ)
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構特任助教。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得退学。専門は、国際政治学。主な著作に、「新しい戦争からの出口の条件――二層ゲーム論の発展による撤退決定過程の解明」『年報政治学』2021-Ⅱ号(2021年)、『資料で読み解く「保護する責任」――関連文書の抄訳と解説』(共編著、大阪大学出版会、2017年)などがある。

小松志朗(こまつ・しろう)
山梨大学生命環境学部地域社会システム学科准教授。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は、国際政治学。主な著作に、『人道的介入――秩序と正義、武力と外交』(早稲田大学出版部、2014年)、「人道的介入における政策決定者と軍人のコミュニケーション―ボスニア、コソボ、リビア」『年報政治学』2012-Ⅱ号(2012年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 保護する責任の現在地――本書の視座と方向性

第I部 欧米と保護する責任
<北米>
 第1章 カナダ ――R2Pの「助産師」から「改良主義的実践者」へ
 第2章 米国 ――超大国に息づく保護する責任
<欧州>
 第3章 英国 ――支持と逸脱の二つの顔を持つ大国
 第4章 フランス ――介入主義の急先鋒から国際主義の堅実派へ
 第5章 EU・北欧諸国 ――繰り返される原則支持と割れる対応

第II部 非欧米と保護する責任
 第6章 アフリカ ――第三の柱を中心に
 第7章 中東 ――リアルポリティークと拭えないR2Pへの不信感
 第8章 アジア太平洋 ――市民社会に広がるR2Pと虐殺予防
 第9章 ラテンアメリカ ――多様性とアンビバレンスのなかの現地化
 第10章 新興国 ――つかず、離れず、まとまらず

終章