シリーズ | スピリチュアルケアを学ぶ2 |
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編著者 | 窪寺俊之 編著 |
判型 | A5判 |
ページ数 | 204 ページ |
製本 | 並製 |
発行日 | 2011年11月 |
ISBN | 978-4-915832-94-9 C0311 |
定価 | 2,420円(10%税込) |
在庫 | あり |
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内容紹介
スピリチュアルケアは「魂へのケア」とも言い換えられるように、心の深みにある不安や畏れ、「私の人生の目的は何か」、「私の負った苦しみの意味は何か」といった思いに苦しむ方々へのケアである。本書には日本的視点からスピリチュアルケアの本質に迫ったカール・ベッカー氏の「医療が癒やせない病」、また、亀田総合病院の西野洋氏が自身のスピリチュアルペインに向き合う体験をもとに医療の本質を述べた「一臨床医のナラティブ」が収録されている。私たちが気づかなかった自分自身の根底にあるスピリチュアルなものを見いだすきっかけを与える内容となっている。
編著者プロフィール
窪寺 俊之(くぼでら・としゆき)
聖学院大学大学院教授(スピリチュアルケア学)。博士(人間科学、大阪大学)。 1939年生まれ。埼玉大学卒業(教育学部)、東京都立大学大学院(臨床心理学)に学ぶ。米国エモリー大学神学部卒(神学)、コロンビア神学大学大学院卒(牧会学)。米国リッチモンド記念病院(ヴァージニア州)と淀川キリスト病院(大阪市)でチャプレン(病院付牧師)。イーストベイ・フリーメソジスト教会牧師(米国、 サンフランシスコ市)。関西学院大学神学部教授を経て現職。日本臨床死生学会理事、スピリチュアルケア学会理事、日本神学会会員、日本福音主義神学会会員、実践神学の会会員、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団評議員。
カール・ベッカー(Carl B Becker)
京都大学こころの未来研究センター教授。 1951年 アメリカ・イリノイ州生まれ。1971年 同州プリンシピア大学哲学科卒業。 京都大学他で東洋宗教を研究し、ハワイ大学で博士号を取得。南イリノイ大学、ハワイ大学、筑波大学を経て、92年から京都大学助教授、98年より同教授。諸文化の宗教(死生観・倫理観)を理解し、治癒方法、倫理道徳、価値体系等の研究を通じて、日本独自の新しい対応方法の可能性を探求。最近は、医療倫理学、バイオエシックス(環境倫理学を含む生命倫理学)の問題を中心に研究。西洋医学の終末期治療等に対し、東洋思想の立場から「離脱体験」研究を行い、全米宗教心理学からアシュビー賞を、1986年に国際教育研究会(SIETAR)から異文化理解賞を、1992年にボンベイ国際大学から名誉博士号を授与された。 「日本的」な医療倫理と教育実践を目指し、生きがい感と自殺防止の関わり、患者中心のインフォームド・コンセント、ホスピス、ターミナル・ケア等の研究に取り組む。
西野 洋(にしの・ひろし)
安房地域医療センターメディカルディレクター。 1954年生まれ。徳島大学医学部卒業。1986年に米国メイヨークリニックにリサーチフェローとして留学、レジデント、クリニカルフェローを経て神経内科助教授となる。96年に帰国、亀田メディカルセンター神経内科医長となり、神経内科部長を経て、卒後研修センター長や総合診療教育部長などを歴任。2010年4月から、安房地域医療センターへメディカルディレクターとして赴任。スピリチュアルケアを取り入れた全人的医療の実践と教育に関心がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第Ⅰ部
医療が癒やせない病――生老病死の日本的なスピリチュアルケア (カール・ベッカー)
死を迎える前に/死に対する準備不足への忠告/遺族のスピリチュアルな悩み
死後の可能性/日本人のスピリチュアリティーのベースを生かす
一臨床医のナラティブ――自らのスピリチュアルペインと向き合って (西野 洋)
スピリチュアルケアとかかわるきっかけ/スピリチュアルケアのプログラムへの参加/
院内でスピリチュアルケアの勉強会を始める/自分自身のスピリチュアル・ヘルスのチェックを/
現在私が実践するスピリチュアルケア
生きる意味を求めて――ホスピスの経験から考える (窪寺俊之)
聖書の言葉/ホスピスから学んだこと/聖書が示す「新しいいのち」の可能性
第Ⅱ部
「スピリチュアル/宗教的ケア」の役割と課題――高見順と原崎百子の闘病日記の比較研究 (窪寺俊之)
一 はじめに
二 本論の目的
三 高見順に見るスピリチュアル/宗教的なものへの渇望
四 原崎百子にとっての宗教(キリスト教)
五 「宗教的ケア」と「スピリチュアルケア」の関係、それらの有効性と限界
六 まとめ