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哲学・思想
世界社会の宗教的コミュニケーション:共鳴の醸成
人はそれぞれ何か唯一のものを信じている。相対性も絶対的に、多様性も一元的に主張する。唯一の神が複数存在し、そのなかで人々がうごめく世界社会。誰もが共存を欲し、しかし自己の優越性は疑わない。包摂に逆らうものは排除され、寛容に抗うものは容赦されない。共有や通底、共同の感情形成は望めなくとも、せめて共鳴は可能か。宗教が拓く世界社会のコミュニケーションを論じていく。哲学・思想人間の本性:キリスト教的人間解釈
本書は、20世紀アメリカを代表する神学者で政治思想家ラインホールド・ニーバーの主著『人間の本性と運命』の第一巻『人間の本性』(Reinhold Niebuhr, The Nature and Destiny of Man, Vol. I: Human Nature, New York: Charles Scribner’s Sons, 1941)の半世紀ぶりになされた最新訳である。聖書の人間像を、自然と精神、時間と永遠、破壊性と創造性、罪人と神の像、原罪と原初的義などをめぐる弁証法的性格において分析し、それを古今の多様な思想との対話を通して新しく解釈し、その現代的意義を訴える。第二巻『人間の運命』(Vol. II: Human Destiny, New York: Charles Scribner’s Sons, 1943. 髙橋義文・柳田洋夫訳、聖学院大学出版会、2017年)と対をなして、アメリカの楽観主義的思想動向に衝撃を与えたニーバー人間学の極致を示す書である。哲学・思想人間の運命:キリスト教的歴史解釈
Reinhold Niebuhr, The Nature and Destiny of Man, Vol. II: Human Destiny (New York: Charles Scribner’s Sons, 1943)の全訳。 ニーバーの代表作の本邦初訳。歴史の本質的性格とその意味を、古代から近代に至るさまざまな思想と対話しつつ、キリスト教の視点に立って新たな解釈を試みている。歴史の限界をえぐり出すとともに、それを超える意味に目を向けながら、キリスト教的歴史観の現代における意義を訴える。哲学・思想現代社会におけるポスト合理性の問題 : マックス・ヴェーバーの遺したもの
本書は「ポスト合理性」=「合理性をはみだしたもの」を問題にする。近代は「宗教」と「科学」との相克のなかで合理性を展開してきた。近年、そうした合理性には収まりきれないさまざまな表象が、ある魅力をもって喧伝されている。それは近代が失ったものなのか、あるいはポスト近代の徴候なのか。本書は、マックス・ヴェーバーの理論に定位しつつ、「ポスト合理性」を浮き彫りにすることを試みたものである。カール・アッハム(グラーツ大学)、ヨハネス・ヴァイス(カッセル大学)による二つの論考、それに対する姜尚中、細見和之、荒川敏彦、土方 透によるコメントとリプライ、さらにコメンテータによる3本の論考が収められている。哲学・思想ハルナックとトレルチ
ドイツの第二帝国の時期(1870 年から1918 年)は,急激な社会変化とそれに続く政治的,社会的,文化的対立によって特徴付けられる.この時期における神学も大きな変革を余儀なくされた.この時代に歴史的変動と取り組み神学的主題としたハルナック,トレルチなどの神学者を論じ,激動の時代のドイツの思想状況を明らかにする.哲学・思想ヴェーバー・トレルチ・イェリネック:ハイデルベルクにおけるアングロサクソン研究の伝統
ヨーロッパ近代の問題を理解する際に欠かすことのできない文献としてヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』,トレルチ『近代世界の成立におけるプロテスタンティズムの意義』,イェリネック『人権宣言論争』がある.それらは,分野やアプローチは異なるものの,アングロサクソン世界に展開したプロテスタンティズムの意義に注目している.本書は,この主題で開催された国際シンポジウムの記録を編集したものである.哲学・思想自由主義に先立つ自由
今日支配的な自由理解である「自由とは,政治体制とは関わりない個人的自由である」とする自由主義的理解に対して,17 世紀のイギリス革命において隆盛を極めたネオ・ローマ的自由理解,つまり他者の権力や意思に従属しない自由という理解を掘り起こし,その現代的意義を論ずる.現代における自由の理解に一石を投じた注目の書.哲学・思想トレルチとドイツ文化プロテスタンティズム
マックス・ヴェーバーと並び,19 世紀から20 世紀にかけてのドイツの文化科学,とくに歴史学,また神学思想において大きな足跡を残した,エルンスト・トレルチの思想を,文化史の観点から再評価し,現代における意義を論ずる意欲的な論考.著者は,ミュンヘン大学プロテスタント神学部教授であり,1999 年度の「ライプニッツ賞」を受けた気鋭の研究者である.哲学・思想ニコラウス・クザーヌス
15 世紀の最も独創的な思想家,哲学者,神学者ニコラウス・クザーヌスについての著者30 年間におよぶ研究をもとに書き下ろしたもので,クザーヌスの政治社会思想,公会議と教会改革,それに著者の最も力をいれた現代政治思想に対するクザーヌスの貢献を力説ている。(クザーヌス生誕600 年記念出版)哲学・思想宗教の未来
現代アメリカ思想において大きな影響を与えたパウル・ティリッヒの現代における宗教の意義を論じた論文集.哲学・思想正義:社会秩序の基本原理
正義とはなにか.実証主義と相対主義の中に国家や法の正義の理念は崩壊したのか.キリスト者として,スイス人として,ヨーロッパ人として,世界市民として,正義の原理を考察し,認識し,正義が共同社会の中で,いかに適用されるべきかを21 章にわたって論じる.哲学・思想イギリス・デモクラシーの擁護者A・D・リンゼイ:その人と思想
リンゼイは,E. バーカーと並ぶ20 世紀におけるイギリス政治哲学者の双璧で,オックスフォード大学の副総長もつとめたが,わが国では彼のイギリス・デモクラシー論については知られているものの,政治哲学の基礎にある学問の拡がりについてはほとんど知られていない.本書はリンゼイのひととなりと幅広い思想を多彩な執筆者によって紹介した初の研究書である.(平成9年度文部省科研費交付図書)投稿のページ送り