-
外国歴史
M・L・キングと共働人格主義
アメリカの黒人バプテスト教会の牧師マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、1950年代後半から60年代にかけて、公民権運動の指導者の一人として歴史にその名を残したが、その運動は非暴力の精神に貫かれた直接大衆行動を特色とした。その背後には深く知性に裏打ちされたキリスト教信仰とそれに基づく人格主義の精神があり、その行動の中核には、キングが人格神として捉える神と人間との「共働」という本質的な生き方があった。外国歴史マーティン・ルーサー・キング・ジュニア:そのキリスト教と民主主義
本書は、キングの著書・演説・説教・書簡を緻密に読み込むことにより、キングの「夢」、その思想と運動が、「キリスト教の伝統」と「アメリカ独立宣言やアメリカ憲法に述べられている民主主義の伝統」に深く根差していることを浮かび上がらせている。 また、文学ではなく思想の面において、リリアン・E.スミスを考察の対象としたのは、本書が本邦初である。キングがスミスを高く評価していたことを明らかにしている。外国歴史イングランド・ピューリタニズム研究
イギリスに起こり,アメリカへと展開したピューリタニズムは明治期から日本の文学・思想に多大な影響を与えてきているが,一方でまちがった理解によりゆがんだピューリタニズム像も描かれてきた.本書は,ピューリタンたちの生み出した第一次資料にあたって歴史資料に則ったピューリタン像を描くとともに,ピューリタニズムを世界史的動向の中で捉え,歴史を変革し,形成する普遍的原理としてのピューリタニズムを評価しなおすものである.外国歴史ピューリタン:近代化の精神構造
著者は,近代の成立をルネッサンスと宗教改革に求め,非宗教化と捉える俗説を排し,近代の起源を,「教会と国家の分離」「人間の個人化」「契約社会への移行」という構造変化に見出す.その構造変化の担い手としてのピューリタンたちの運動の思想史を描く.名著『ピューリタン』の改訂新著.外国歴史イングランド国民のための第一弁護論および第二弁護論
イングランド革命期に国王チャールズ一世を処刑したイングランド国民に対して,フランスの学者,サルマシウスなど国王派は「王権神授説」を掲げ,非難した.ジョン・ミルトンは「国王といえど,暴君であれば国民に服従の義務がない」ことを主張し,弁護した.本書は,ミルトン研究者によってラテン語文献から翻訳され,また訳注,解説によって,その思想を現代において理解できるよう便宜が図られている.外国歴史カルヴァンとカルヴァン主義者たち
宗教改革者カルヴァンの思想はヨーロッパ,イギリスなどにどのような影響を与えたのか.本書は,カルヴァンの影響がカルヴァン主義者たちによって変節されたとする最近のケンドールなどの研究に対してカルヴァンの著作に基づき批判し,カルヴァンの思想のイギリス・ピューリタンへの継承を跡づける.外国歴史アメリカ史のアイロニー
アメリカは20 世紀の半ば,突如として,国民的経験も精神的準備もないままに世界史的勢力として台頭し,世界史の中に踊り出た.この「大国」アメリカはどこに向かうべきか.本書は,原書が1952 年に出版されているが,世界史的「大国」アメリカの問題を「権力の腐敗」の問題として鋭く抉り出し,アメリカを自己認識と責任意識へと導こうとする,現代の問題をも照射するアメリカ論の新訳である.付録として巻末にニーバーの「ユーモアと信仰」を所収.外国歴史デモクラシーにおける討論の生誕:ピューリタン革命におけるパトニー討論
ピューリタン革命の最中の1647 年10 月28 日から3日間,国王を逮捕した革命軍が今後の方針を討議するためにパトニーで総評議会を開催した.議長はオリヴァ・クロムウェルがつとめ,新しい政治体制を主張するレヴェラーズと激しい議論を進めた.A.D. リンゼイは,ここに近代デモクラシー思想の源泉があったとする.本書は,ウドハウスの編集によるテキスト「パトニー討論」の翻訳に訳者注記と解説を付し,この討論の政治思想史における意義を解明する.外国歴史クロムウェルとイギリス革命
ピューリタン革命の立役者,オリヴァ・クロムウェルはデモクラシー思想の点でも,政治指導者という意味からも重要な人物であるが,その本格的研究が立ち遅れている.本書では,序章「クロムウェル研究史」,第1部「クロムウェルの宗教」,第2部「クロムウェルと政治」,第3部「クロムウェルと国際関係」という多角的な視点からクロムウェルの全体像を構築す る.またクロムウェル研究に益する詳細なクロムウェル研究関連文献を付している.外国歴史イギリス革命とアルミニウス主義
イギリス革命期の急進的聖職者ジョン・グッドウィンは「しょく罪されたしょく罪」(1651 年)によって,カルヴァンの運命論的な二重予定説を批判した.その思想の中核にあった神の選びは万人におよび,その摂理は人間の自由意志と矛盾しないと説いた16 世紀オランダのアルミニウスの教説を詳説し,それがイギリス革命におよぼした影響を明らかにする. (平成9年度文部省科研費交付図書)