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外国歴史
カルヴァンとカルヴァン主義者たち
宗教改革者カルヴァンの思想はヨーロッパ,イギリスなどにどのような影響を与えたのか.本書は,カルヴァンの影響がカルヴァン主義者たちによって変節されたとする最近のケンドールなどの研究に対してカルヴァンの著作に基づき批判し,カルヴァンの思想のイギリス・ピューリタンへの継承を跡づける.キリスト教思想アメリカ史のアイロニー
アメリカは20 世紀の半ば,突如として,国民的経験も精神的準備もないままに世界史的勢力として台頭し,世界史の中に踊り出た.この「大国」アメリカはどこに向かうべきか.本書は,原書が1952 年に出版されているが,世界史的「大国」アメリカの問題を「権力の腐敗」の問題として鋭く抉り出し,アメリカを自己認識と責任意識へと導こうとする,現代の問題をも照射するアメリカ論の新訳である.付録として巻末にニーバーの「ユーモアと信仰」を所収.聖学院大学研究叢書エラスムスとルター:一六世紀宗教改革の二つの道
自由意志の問題は,古代から中世,近代にかけて,アウグスティヌスとペラギウス,エラスムスとルター,ジェズイットとポール・ロワイヤルの思想家たち,さらにピエール・ベールとライプニッツなどの間で激烈な論争が繰り広げられた哲学と神学の重要主題であった.本書では自由意志と奴隷意志論争を焦点にルネサンスと宗教改革という二つの精神上の運動を述べる.哲学・思想ヴェーバー・トレルチ・イェリネック:ハイデルベルクにおけるアングロサクソン研究の伝統
ヨーロッパ近代の問題を理解する際に欠かすことのできない文献としてヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』,トレルチ『近代世界の成立におけるプロテスタンティズムの意義』,イェリネック『人権宣言論争』がある.それらは,分野やアプローチは異なるものの,アングロサクソン世界に展開したプロテスタンティズムの意義に注目している.本書は,この主題で開催された国際シンポジウムの記録を編集したものである.哲学・思想自由主義に先立つ自由
今日支配的な自由理解である「自由とは,政治体制とは関わりない個人的自由である」とする自由主義的理解に対して,17 世紀のイギリス革命において隆盛を極めたネオ・ローマ的自由理解,つまり他者の権力や意思に従属しない自由という理解を掘り起こし,その現代的意義を論ずる.現代における自由の理解に一石を投じた注目の書.キリスト教思想近代人の宿命とキリスト教:世俗化の人間学的考察
本書は,近代社会における宗教の衰退,あるいは宗教の個人化という「世俗化」現象を分析し,解明してきた宗教社会学の成果を批判的に吟味し,また現代の諸科学における「世俗化」の理解をとりあげながら,人間学的な観点から「世俗化」現象を考察する.宗教社会学・諸科学では欠落させてしまう人間の霊性に考察の光をあて,現代において人間的精神を回復させる宗教の意味を論じる.キリスト教概説思いやりの主イエスとともに:聖日講話集
本書は,我孫子無教会キリスト教集会の聖日講話として著者が述べたものの中から37 回分の講話を「十字架を負いて我に従え̶̶信仰について」,「敬愛のエートス̶̶無教会について」,「時の徴し̶̶宗教と政治について」,「思いやりの主イエスとともに―ヘブル書を学ぶ」に分類し編集されている.『近代思想史における内村鑑三』が示す精神の方向を受け継いだものである.聖学院大学研究叢書「文明日本」と「市民的主体」:福沢諭吉・徳富蘇峰・内村鑑三
開国と明治維新は,近代日本の為政者と人民に思想的に大きな課題を突きつけた.それは日本の目指す政治体制,為政者の役割,人民の生き方,あるいは国際社会における自国の位置付けを,世界に向かって「理解されるもの」として語る必要からであった.本書では,「文明日本」と「市民的主体」の二構想を諭吉・蘇峰・鑑三の思想を通して明らかにする.聖学院大学研究叢書歴史と探求:レッシング・トレルチ・ニーバー
中間時における真理の多形性をとく「真理の愛好者」レッシング,「徹底的歴史性」の立場でキリスト教的真理の普遍妥当性と格闘したトレルチ,歴史の有意味性を弁証しつづけたニーバーのそれぞれの思想的連関を考察し,著者の神学的・宗教哲学的立場から偶然的な歴史的真理と必然的な規範的真理の関係性を明らかにする.リンゼイ著作シリーズわたしはデモクラシーを信じる
『民主主義の本質』などで知られる英国の政治哲学者A. D. リンゼイが BBC 放送にて発表したデモクラシー論の他に,トレレーション,個人主義に関する論文を加えた.本書のメッセージは,われわれにデモクラシーへの確信をいつまでも色あせることなく堅くさせる.哲学・思想トレルチとドイツ文化プロテスタンティズム
マックス・ヴェーバーと並び,19 世紀から20 世紀にかけてのドイツの文化科学,とくに歴史学,また神学思想において大きな足跡を残した,エルンスト・トレルチの思想を,文化史の観点から再評価し,現代における意義を論ずる意欲的な論考.著者は,ミュンヘン大学プロテスタント神学部教授であり,1999 年度の「ライプニッツ賞」を受けた気鋭の研究者である.日本のキリスト教日本の将来とキリスト教
日本の近代化(西洋化)の問題は,西洋の技術・学問は受け入れたが,その根底にある「キリスト教」を排除して受け入れたことである.アジアで近代化を成しとげ,経済的に成長したにもかかわらず,「キリスト教ぬき」の成長・発展は大きな問題を生じさせてきた.著者は以上の認識から,現代日本の問題の根底にある西洋受容の「ねじれ」を,アメリカ,ヨーロッパなど との比較において指摘し,21 世紀における日本の課題を明らかにする.投稿のページ送り